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音尾琢真主演『ノケモノノケモノ』のココを見てくれ!【考察含む】

 

2020年12月に突如YouTubeに投稿された小林賢太郎演劇作品『ノケモノノケモノ』

 

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2014年5月~7月に開催し、全国8カ所をまわった舞台です。脚本・演出・出演・美術を行ったのは小林賢太郎さん。

もうみなさんはご覧になりましたか?

 


この舞台は私が好きな舞台ベスト5に入るぐらい大好きで、NACS作品を抜いたらナンバー1ぐらい好きなんです。

 

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何故好きかというと、恥ずかしながらストーリーが自分に図星だったから。なぜ恥ずかしいのか、それは舞台を見てください。


もちろん推し・音尾琢真が主演っていうのも加点されていますが、内容が響いたんですね。

 

このお話は小林さんが音尾さんにアテ書きしたもの。


どんな内容か、小林さんの言葉をお借りすると…「特別だと思われた。でも人と違うと不安になる。そんな人間の矛盾をテーマにした物語」という感じ。

 

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まず、見ていない人はこちらを見てほしい。信じられないことにフル尺でYouTubeに載ってるんです!ありえない!サービスすぎる!

 

 

といっても、2時間あるんですわ。

 

なので、この記事では、『ノケモノノケモノ』のここをみて!というところを勝手に紹介します。(音尾琢真のここをみて!も含まれます)

 

iPhoneをご利用の方は、動画再生の時に、四角が2個あるアイコン(ピクチャインピクチャ)を利用すると便利です。

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上下にこの画面が出てこない場合は一度タップしてみてください。

 

また、これ以降の埋め込み動画は開始秒数指定になってるため、目的のシーンから見られます。

 

 

 

 

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  • キャスト

原宮シンペイ(音尾琢真)
―KRM自動車の社員
イルマ(小林賢太郎
―不思議な獣の世界の案内人
後輩 創造主 そば店主 門番A etc…(辻本耕志)

秘書 運転士 橋本  門番B etc…(高橋良輔

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『ノケモノノケモノ』、どこで区切るか分からないですよね。除け者除け者なのか、除け者の獣なのか。はたまた違う意味なのか。きっと舞台を見ればそれもわかるでしょう。

 

★☆★目次★☆★

 

 

◆獣ヶ淵

まずはこの冒頭は必ず見ておいてほしい。(言ってしまえば、このシーンが伏線回収になる)

 

音尾さんが演じるのは、本当にどこにでもいそうなサラリーマン。

 

「自動車工場を建てさせてほしい」と、田舎に交渉へやってきた原宮(音尾)と後輩(辻本)。原宮が自信を持って会社の名前を出しても、地主のおじさんは拒絶します。

 

 

原宮と後輩は見てわかるように、逆の性格。

見栄を張り表面上のもので自分を飾る原宮と、飾らない自分で生きる後輩。

 

小林さんは音尾さんをキャスティングした理由として「生々しい人間に演じてもらいたかった。お客さんが感情移入して共感できる"ミスター生人間"の音尾くんの力が必要だった」と語ってます。

 

音尾さんは、見事にそのリクエストに応えるように生々しい人間を演じきってます。

 

バス停で謎の男・イルマ(小林)に出会った原宮。

生き物が生まれる不思議な話を聞かされます。

原宮は、話を聞いて「有名な動物が先に生まれて、余り物で『除け者』が作られたと主張。

イルマは、何も言いません。

 

 

◆バス

行き先のわからないバスに乗ってしまった原宮。

イルマに「いまどの辺か?」と聞くと…

 

いや、どの辺りだよw

たまにこういう笑いのシーンもあるのも好きな理由の1つ。

 

終点を目指すのですが、もう一度今どの辺か聞いてみましょう。

 

イルマの力の抜けるような「ハァッ!」が好き笑

原宮さんは「ぽかーん」。そりゃそうだ笑

 

◆街の中心部

 

見慣れない街にやってきた原宮。ここは死の世界なのか?!イルマに聞いてみると…。 

 

ここの言葉遊び楽しい笑

そして転がる音尾くん可愛い。「○○なのにぃっ!」の言い方が駄々をこねる子供すぎて😂

 

蕎麦屋にやってきた原宮。

「分かった気になる」ことで、ここ独自の言葉も理解できるようになりました。

 

蕎麦一つ決めるのも、グルメ評価がないと決められない原宮。こういう人いますよね。

 

手を内股に挟んでる原宮がちょっとかわいい。そして、音尾さんの水を飲むマイムがうますぎるという…。ここはとにかく原宮さんが可愛いシーン。

 

原宮が頼んだ『けもの蕎麦』。中に入っているものは誰も教えてくれませんが、、一体…。

 

 

 

 

◆門

ここはもう楽しいシーン。

 

イルマさんが先に門の中に入ってしまい、ついて行く原宮。しかし門番は…

 

 

ならぬ。

 

門番に、原宮の思う『特別』は通用しません。

さて、『ならぬ』と『さよう』しか言わない門番。ここから言葉遊びが始まります。

 

 

作用反作用の問題出すときの音尾くん可愛すぎんか?!

 

イルマさんが向かいに来てくれましたが、何やら門番たちはイルマさんが把握していないことまでやりだしてしまい笑いを誘います。

 

門の場は本当に全部見て欲しいぐらい面白い!

 

◆生命の図書館

 

すべての生き物の設計図が所蔵されている図書館。

イルマはここにある本全て読破。

もちろん原宮の設計図もあります。

 

前の場では楽しいシーンでしたが、イルマが原宮の設計図を読んでいくにしたがってシリアスになっていき…?(途中盛り上がりますが、1:01:50までは見てほしい)

 

 

 

 

◆狩人

狩人に「自分の話をしてみろ」と問われる原宮。

しかし、『自分』が何なのか分からなくなってしまいます。

名刺やみんなが好きな雑誌、有名な高いなど見せますが狩人は納得しません。

 

ここからのシーンは是非見てほしい!

原宮が自分について考え、問うシーンです。

「自分」というセリフだけで見てる方まで考えさせられる圧巻のシーンをご覧ください。

 

まず、あなたはここのシーンを見て何を思いましたか?

 

ここは、音尾くんが何度も悩んで作り上げたところだといいます。

 

過去のインタビューでは、こうやって答えていました。(一部抜粋)

 

音尾:僕が演じる原宮という男が、「本当の自分」について自問自答するシーンで、台本には「自分」というせりふが行間を空けて10個ほど書いてあるだけ。ト書きもなかったので、それぞれのせりふで芽生える葛藤を演じ分けるのが本当にむずかしかった。賢太郎さんに「もうちょっとなんだけど……」と言われる日が何日も続きました。賢太郎さんの「お客さんに自分のことのように感じて、怖がってもらいたい」という意図はわかるんだけど、うまく表現できなくて。

 

小林:表面的なもので自分を表すのに違和感を覚えて、「内面にある自分」を探していく。説明的なせりふではなくて、「自分」という言葉だけで、「見た目?」「持ち物?」「違うなら一体何なのか?」ということを表現して欲しかったんです。

 

いや、もう本当その通り。

『ノケモノノケモノ』の真髄のシーンだと思っています。

 

あなたは、原宮の自分を探す姿を見て何を思いましたか?

 

私も一緒に自分とは何なんだろう、分からない、表面だけで飾っているのかもしれない、原宮を見て笑ってられないのかもしれないと不安になりました。

 

インタビューを読む前にそう思っていたのですが、それはもう、音尾さんの、意図する芝居に引き込まれていたのです。

 

自分を見つけられない小さな自分に気がつきながらも、影だけは大きくなっていく

 

みんなとは違うと大きく見せて、何かは人と同じじゃないと不安になる小さな心がある矛盾がこの影に現れてるんじゃないかと思っています。

 

そして、いきなり笑いのシーンに。

ここは小林さんのこだわりの転換なんだとか。

 

本当は全部見てほしいのですが、3つ中最後のところとそのあとの鳥肌の立つシーンのところからにします。

 

後輩が「ノケモノ」とつぶやき矢を放つという、笑いからの落差があるシーン。ゾッとします。

 

 

原宮は気がつくのです。自分は、カニやカメレオンと一緒なのだと。周りの色に合わせて自分を守っていることを。

 

みんなとは違うと思われたいカニで、みんなと同じじゃなきゃ不安なカメレオン

 

◆創造主のアトリエ

冒頭では、ノケモノが後から作られていたと思っていた原宮。しかし、実際はノケモノと思っていたものを先に創造主は作っていたのです。

 

イルマに「今何をしたいか」と問われた原宮は、「身体を動かしたい」と答え後をついていきます。

◆箱舟

ケモノの運び込み作業を手伝う原宮。

ここでは、私がこの舞台で1番笑ってシーンがあるので紹介します。イルマと運び込みスタッフ(辻本)による漫才『カメレオン兄弟』をご覧ください!

 

 

再び狩人のところにやってきた原宮。

自分を見つめ直し気がついたことがあるようです。

恥ずかしくも、ここは自分と重ね合わさる部分でした。きっと読んでいる貴方にも響くことがあるかもしれません。

 

「僕は誰かを除け者にすることがある。

それは自分が除け者になりたくない時だ」

 

また狩人からは、イルマは設計図がない人間(人工的に作られた人間)であることを明かされた原宮。

 

そして再び、狩人から『自分の話をしてみろ』と言われ、原宮はさっきとは全く変わった答えを言い放ちます。

 

 

「みんなとは違うと思われたい普通の人間で、みんなと同じじゃなきゃ不安な普通の人間」

 

原宮の答えは、ここのシーンに全てあるのでしょう。

 

 

またイルマに会いたいと誓った原宮。

現実世界に戻ってくると、冒頭とは全く違う様子を見せます。

 

田舎を嫌っていましたが、実はここは原宮の地元。

プライドの高い原宮は、それを隠していたのです。

 

さらっと終わらせてしまいましたが、舞台では最後までまだ素敵に描かれています。時間がある時にぜひ見てください。

 

 

音尾さんは、「わりと過去の経験と結びつけて演じるタイプ」といっていました。

 

この舞台も何かを意識していたのかは分かりませんが、どこにでもいそうなサラリーマン、典型的な日本人を演じるうまさをとても感じるお芝居です。

 

音尾さんは、自分の色を残しつつも作品によって何色にでも染まれるような白の役者さんだと思っています(もちろん褒めてる)。NACSだとイメージカラーは黒なんだけどね。

 

音尾さんの素晴らしさも伝わる舞台、ぜひ2時間小林賢太郎さんの世界に浸かってじっくりと堪能してください!

 

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